VRの解像度とレンズ選びのヒント

VRの解像度とレンズ選びのヒントについて解説します。

360VRや3D180VRに最低限必要な解像度は、最終的なエクイレクタンギュラーの状態で最低3840×1920程度と言われています。そのため必然的にVR動画撮影に使用するカメラは4K動画が撮影できるカメラに限定されます。

しかし、他にもセンサーサイズやレンズのイメージサークルの大きさ、180度の地点でのピクセルサイズ数などを考慮してカメラやレンズを選定する必要があります。

理解すると簡単ですが、理解していないと非常にややこしく感じてしまうので、VRの解像度と正しいレンズの選定方法について解説します。

センサーサイズとイメージサークルの大きさ

センサーサイズ

◾️センサーと画質
一般的に同じ解像度であれば、センサーサイズが大きい方が画質が向上します。
センサーを構成する1pxの大きさが大きいほど多くの情報を得られるので、明暗差が表現できる、暗所でもノイズが乗らないなどで差が出てきます。

例えば最近はアクションカメラでも4K撮影できるカメラが一般的になっていますが、アクションカメラで使用される1/2.3″サイズのセンサーとフルサイズのセンサーで撮影できる4Kとは画質が大きく異なります。小さなセンサーに4K相当のピクセルを収めるためには1pxのサイズを小さくしなくてはいけないので、フルサイズの4Kセンサーとピクセルサイズを比べると全く大きさが違います。

◾️センサーサイズとレンズ
カメラには色々なサイズのセンサーサイズがあります。
そしてカメラに使用するレンズはそれぞれのレンズに対応したレンズを使用する必要があります。
というのも、小さなセンサー用のカメラのレンズを大きなセンサーのカメラで使用すると映し出されるイメージがセンサー全体をカバーできずにケラれてしまうからです。

イメージサークルサイズの大きさ

レンズはそれぞれセンサーサイズに応じたイメージサークルサイズで設計されています。
例えばEntnaiya Fisheyeでも、焦点距離の違いによってイメージサークルサイズの大きさが違います。

VR動画の撮影で魚眼レンズを使用する場合、最終的に必要な解像度や機材から使用するレンズを選択することになります。

カメラ(レンズ)の台数と360VR動画に必要な視野角

VR撮影で魚眼レンズが使用される理由

広角な魚眼レンズでVR動画を撮影する最大のメリットは少ない台数で撮影できるという点です

例えば250度の広角なレンズを使用した場合、Back-to-Backと呼ばれる二台のカメラを背中合わせにしたセットで周囲360度を撮影できますが、魚眼レンズでない場合、360度を撮影するためにはもっと多くのカメラが必要になります。

VR撮影で多用されていたGoProは対角で170度程度のレンズが付いていて一般的なカメラで考えれば超広角なカメラになりますが、VR動画撮影の場合には最低6台のカメラが必要になります。

縦で190°以上の画角が必要

360VR動画撮影で縦で190°以上の画角があることが非常に重要です。

というのも、360°の映像の天地180°をカバーするためには、190°以上の画角が無いと360°をカバーするための素材が足りないため天地に穴が空いてしまうのです。

空いてしまった穴をカバーするためには上または下向きにしたカメラを配置する必要があります。
つまりマルチロウ(複数段)での撮影が必要になるためセットアップが非常に複雑になりますし、ステッチラインも複雑になります。

縦で190°以上の画角があれば、カメラを単純に水平に並べるだけで良いのでセットアップを単純化することができます。

水平の画角は全てのカメラの画角を合わせて400°以上が推奨

水平の視野の場合は全てのカメラの視野角の合計が400°以上になることが望ましいです。

例えば天地の視野190°以上、水平視野が200°以上あれば2台のカメラで360°全てをカバーできます。
3台のカメラで撮影する場合には視野190°以上、水平視野が135°以上あれば360°全てをカバーできますが、少し余裕をもった140°程度で考えた方が安全です。

オーバーラップする面積が多くなればなるほどパララックスは誤魔化しやすくなるのでステッチが楽になります。

VR動画の解像度は180°のピクセル数に依存する

180°の範囲のピクセル数の求め方

大きなセンサーに小さなイメージサークルのレンズを使用すればイメージサークルが全て入るので、少ないカメラ(レンズ)で360VR動画が撮影できるということになりますが、解像度の問題が出てきます。

VR動画の解像度は180°のピクセル数に依存するからです。
つまり、小さなイメージサークルのレンズを使用すると180°の範囲で得られるピクセル数が少なくなるため解像度が低くなるのです。

言葉ではわかりづらいので図で説明してみます。

◾️センサーサ内のピクセル数
動画で一般的なセンサーサイズであるSuper35mmを例に挙げます。
センサーサイズは23.5mm x 13.22mm 程度です(カメラによって多少異なります。)
解像度は4K撮影で3840px x 2160pxで出力できます。
つまりセンサー1mmに対して約163のピクセルが配置されていることが分かります。

◾️イメージサークルのサイズ
レンズのスペックを確認するとHAL250 3.6の場合下記のようになっています。
180° = 直径11mm
250° = 直径14.25mm

◾️得られる解像度
1mmあたりのピクセル数 163を180°のイメージサークルのサイズ11mmで掛けます。
163px x 11mm = 1793px
が、180°の地点で得られるだいたいの解像度の目安にすることができます。

VR動画のフォーマットであるエクイレクタンギュラーの比率は横2:縦1です。
つまり横360°:縦180°ですので、得られる解像度の目安は横3786px x 縦1793pxとなります。

4Kの3840×1920には少し足りませんが、クロップの位置やソフトウェアの判断などでも誤差が出ますし、VR動画の場合、もともと円周のイメージから引き伸ばしてエクイレクタンギュラーに変換するため5%くらいの範囲であれば許容範囲と思います。

最適なレンズの選び方

最適なレンズを選ぶ時にはセンサーに対して180°のイメージサークルがどのような入り方をするのかを考えます。
解像度を犠牲にしないためにはステッチできる範囲の画角で、180°のラインができるだけセンサーに大きく収まるようなレンズを選ぶことが大切なのです。

Super35センサー(23.5mm x 13.22mm )の場合で考えると下記のようになります。

レンズの情報
HAL 250 2.3 φ7mm@180/φ7.3444mm@190
HAL 250 3.0 φ9.2mm@180/φ9.68mm@190
HAL 250 3.6 φ11mm@180/φ11.66mm@190
HAL 250 4.3 φ13.1mm@180/φ13.8mm@190
HAL 250 6.0 φ18.2mm@180/φ19.16mm@190
HAL 200 3.6 φ11mm@180/φ11.52mm@190
HAL 200 6.0 φ18.2mm@180/φ19.08mm@190
※各画角でのイメージサークルのサイズ(直径)はスペック表の像高(イメージサークルの半径)から計算できます。

◾️カメラ2台の場合
縦の13.22mmにちょうど当てはまりそうなレンズはHAL 250 3.6(φ11mm@180/φ11.66mm@190)ということになります。つまりSuper35センサーを搭載したカメラの場合HAL250 3.6を使用すると2台で360°撮影できることになり、解像度も4K程度得られるということです。
HAL250 4.3も惜しいですが190°のラインがセンサーを超えてしまっているのでステッチで穴が空いてしまう可能性があります。

◾️解像度がもっと必要な場合
さらに解像度が必要な場合はセンサーを縦に使います。
一般的なセンサーは縦よりも横の方が長くピクセル数も多くなっているので、センサーを縦に使用すれば180°の地点での解像度を稼げるようになります。

センサーを縦にすると本来の横幅の23.5mmが縦になりますからHAL 250 6.0 φ18.2mm@180/φ19.16mm@190などが使用できるようになります。
単純計算で163px x 18.2mmだと2967pxになるので、約6Kのエクイレクタンギュラーが出力できます。
ただしその場合の横は120°程度しか入らなくなってしまうのでカメラを4台使用したセットアップを考えなくてはいけなくなります。

それを考えると縦に短い横長の16:9の動画フォーマットはVRには実はとても不利なのです。
Panasonic GH5シリーズのようにアナモルフィックで4:3のアスペクト比で撮影できるカメラは縦の解像度を稼げて左右の空白の無駄も少なくなるのでVR向きのカメラと言えるでしょう。

まとめ

360VR動画において180°のイメージサークルがセンサーにどのように入るかが重要なポイントになるので、機材やレンズを選択する際には必ずチェックする必要があります。

逆に言えばこの計算ができるようになれば、必要な解像度やクオリティに応じて適したレンズや機材を選定することができるようになるので是非理解していただきたいポイントでもあります。

ポイント

◾️VRの解像度は180°に含まれるピクセル数で決まる
◾️天地の視野角は190°以上が理想
◾️水平の視野角の合計は400°以上が推奨
◾️より高解像度を目指すならセンサーを縦使いして縦の解像度を稼ぐ

留意点

◾️センサーサイズはカメラやメーカーによって若干異なることがあります。
◾️カメラやモードによってクロップされる範囲が異なることがあります。