VR映画でEntaniya Fisheye HAL250?

VR映像も日々進化を遂げています。チャレンジ的なものも含めて様々な分野で活用されるようになってきています。

そんな中で当然、映像エンターテイメントの分野でもVRへの取り組みは行われていいて、2018年11月にデスペラードやシン・シティの監督として知られるハリウッド映画監督のロバート・ロドリゲス氏によって、本格的なVR映画であるTHE LIMITがWEBで公開されました。

THE LIMIT A VIRTUAL REALITY FILM

トレーラーを観る限りでも、シネマライクな画作りでハリウッド映画を彷彿とさせる映像であることが伺えます。

この作品までも多くのVRクリエーターの手によりいくつもの作品が作られてきたというのは言うまでもありませんが、この作品ほど名前が通った監督や俳優が出たものは無かったこともあり、公開当初はVR界隈でも大きな話題となりました。

THE LIMIT A VIRTUAL REALITY FILM

Entaniya Fisheye HAL250?

オフィシャルホームページの撮影風景やビハインド・ザ・シーンの映像を観るとRED HELIUMにEntaniya Fisheye HAL250 EF 4.3と思われるレンズが取り付けられているのが確認できます。上記のイメージはオフィシャルのトレーラーの1:25過ぎに登場するワンシーンをキャプチャしたものです。

思われる、という書き方になってしまうのは、公式に撮影機材が発表されているわけではないためですが、他に似たようなレンズも無いので、ほぼ間違いないと思います。

もちろん公開後にその事実を知ったわけですが、ハリウッド映画で使用されるレベルのVRレンズを作りたいという思いがあるだけに、ハリウッド映画を手がける世界的に有名な映画監督に使用してもらえたという事実は非常に大きな驚きと喜びがありました。

実写VR映像にとって大きな一歩となるマイルストーン的な作品

チャレンジ的な要素も大きい作品であるとは思いますが、こうして実際に映画製作に関わる人達が、映画製作と同じような機材でVRの撮影を行ったということは実写VRにとってはマイルストーン的な非常に大きな一歩になったと思います。

例えばDIYでアクションカメラを組んでVRを撮影するしか無かった頃には絶対にVRなんて見向きもしなかった人達が、より本格的な映像機器を使ってVRを撮影できるようになったことで、VR撮影に取り組むようになってきたということでもあり、少しずつですがVRはより身近なものになってきていると思うのです。

VRアドバイザーの必要性

VR動画が撮影されはじめた頃、VR動画の撮影に関わっていた多くの人は動画畑の人ではなく、写真を撮影するカメラマンでした。というのもVR動画以前にはVRはパノラマ写真と呼ばれていて写真の世界では多くのカメラマンがパノラマ写真(VR写真)撮影を行っていたのでした。

そのため、既にVR撮影やステッチのノウハウを持っていたカメラマンの多くがVR動画の世界に参入してきました。彼らはVRの知識が豊富だったのでそVRのルールを守った撮影をおこなっていたためクオリティを保った作品を多く作っていたのですが、VR撮影機材の普及とともに、VRの知識が無い人でも参入できるようになり、結果としてVRのルールとは違った撮影(例えばカメラをパンさせるなど)をしてしまう失敗が出てくるようになりました。

そのうちVRソフトウェアが優秀になったり、新たに参入したVR撮影者もVRのルールを理解するようになることで徐々にクオリティが上がってきたという流れがあります。

そして現在、新たにより本格的な動画クリエーターたちがVRに参入してくるようになり、同じような問題が繰り返されるようになってきています。

THE LIMITについても同様で、多くのVRクリエーター達から撮影方法についての指摘が出ているようですが、おそらく現場にVR撮影に精通したVRアドバイザーのような人が居たとすれば、このような問題も回避できたものと思われます。

無かったものはレベルの底上げに時間が掛かる

とは言え数年前まではVR動画などは無かったと言っても過言ではないくらいに誰も知らないものでした。世の中に無かったものはその認知にも時間がかかりますし、撮影方法についても誰も正解を持っているひとはおらず、トライアンドエラーを繰り返す中でどんどんノウハウが蓄積されていくものなのです。

つまりは一定のレベルに到達するまでには多くのチャレンジと失敗が必要で必然的に時間が掛かるものなので、まずは新しい一歩を踏み出したことが称賛される段階でしょう。

一つチャレンジが躓くたびに「VRは一過性のブームに過ぎない」という結論を出したがる人もいますが、私はそうは思いません。現状ではそれらは単にトライアンドエラーの結果に過ぎず、VRは確実にいろいろな変化をしつつ進歩してるように感じます。

何もなかったところから多くの人がDIYで撮影機材を組み上げたりトライアンドエラーを繰り返し一つの技術やムーブメントが誕生する場面に立ち会えることはそうそうあるものではないでしょう。多くの失敗を繰り返し、それでも確実にステップを登っていくという時代の大きな流れをVRには感じるのです。

そういう意味でこのTHE LIMITは非常に大きなチャレンジでもあり、より本格的な映像クリエーターがVRに参入した記念スべき作品でもあると思うのです。その大きな一歩の撮影機材としてEntaniya Fisheye HALが使用されたことを非常に嬉しく、また誇らしく思います。