VRスタンドを使用した360VR動画の作り方

近接撮影や狭い場所でも360VR動画を作る

近接撮影と狭い場所でステッチが破綻する360VR動画の問題を解決

私は360VR動画は被写体が近くを動いたり、狭い場所で撮影された動画の方が面白いと感じます。

しかしながら、360VR動画は複数のカメラを組み合わせた機材で撮影するため、視差の問題でステッチが破綻してしまいます。

複数のレンズを備えた360VRカメラで近接撮影する場合、レンズの正面に立てばステッチの問題は回避できますが、動ける範囲は前後だけで、左右に動くことができません。

オプティカルフローの技術を使ってもカメラから1メートル〜2メートル離れないと、左右に動いた時にステッチの破綻が出てしまうのです。

しかしながら、上記のサンプルは狭い場所での撮影で、被写体がカメラに非常に近づいたりしてもステッチの破綻が起きません。

どのようにこの360VR動画を作ったのかを解説したいと思います。
以下に紹介する方法は、その他の方法と同じように完璧に問題を解決するものではありませんが、近接撮影や狭い場所で360VRを撮影する方法としてとても有効性のある方法の1つです。

使用した機材

レンズ Entaniya Fisheye HAL 250 E-mount 3.6
カメラ Sony α7s
リグ Entaniya VR stand
設定 APS-C / super 35 mm / 4K
ソフトウェア Autopano Vido Pro / Autopano Giga

セットアップの情報

セットアップの情報

撮影

撮影

すぐにご理解いただけると思いますが360VR写真の撮影をするのと同じようにNPPを調整した機材を使用してフロントとバックを撮影して360VR動画を撮影します。

メインとなるフロントの動画とパッチとして使用するバックの動画を一台のカメラで撮影します。時間軸は2つの動画で異なりますが、背景が動かない、メインの動画に影響を与えない条件であればこの方法で撮影することができます。

Entaniya VR standを使用すると簡単にNPPが調整された状態にすることができます。

ポイント

オーディオ

音声はメインとなる動画とマッチしている必要があります。
Autopano Vido Proでステッチした場合ファイル名が先に来たファイルの音声が有効になります。

影や反射に注意する

バックの動画を撮影する際には影やガラスに反射が無いかを注意してください。

ステッチライン

ステッチラインに立たないようにしてください。
撮影時はカメラの背後に立つと安全です。

ステッチ方法

Autopano Video Proへ動画ファイルをドロップ

Autopano Video Proへ動画ファイルをドロップ

Autopano Video Proへ動画ファイルをドロップします。
シンクロ機能は使用しません。
適当なフレームを選択してステッチボタンを押します。

ステッチ

ステッチにはパラメーターを使用します。
Entaniya Fisheye HAL 250のパラメーターはAutopano Video Proにはプリインストールされていませんが、テンプレートをインストールすることで使用できるようになります。

パラメーターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。

ステッチ

基本的なステッチが出来ました。
NPPを調整した機材で撮影した場合、この時点でもステッチは非常に良好になります。

Autopano Video Proはカメラとカメラの丁度中間をステッチラインにします。
つまり、2つの動画から360VR動画を作成する場合、360°÷2=180°で360°VR動画を半分にした場所にステッチラインが現れます。

なので、180°の場所に立つと上記の画像のようにステッチラインが現れます。

この問題をAutopano GIGAを使用して修正します。

Autopano GIGAでステッチポイントを修正

Autopano GIGAでステッチポイントを微調整します。

マスク機能を利用してステッチラインの位置をずらす

マスク機能を利用してステッチラインの位置をずらします。
調整前は180°の場所にステッチラインが位置しています。

マスクポイントを打つとステッチラインを移動させられます。
通常の360VR動画の場合、ステッチラインを移動させると、移動した先のステッチが大きくズレてしまいますが、NPPが調整されている場合はステッチラインをズラしてもステッチの精度は変わりません。

つまりNPPを調整した動画であれば、メインのフロントの動画の視野を250°まで広げることができるのです。

つまりメインのフロントの動画では250°動くことができます。
狭い空間の場合、隅にカメラをセットすることで、空間を隅から隅まで動くことが出来るようになります。

Autopano Video Proで確認

Autopano Video Proに戻り確認してみます。
先ほど180°のラインでステッチの破綻が見えていましたが消えました。

まとめ

この方法はカメラが動くようなVR動画では有効ではありません。しかしながらこの方法であれば、今までの機材では撮影できなかった様々な場所での撮影に応用できるはずです。

この方法であればカメラの15cmほど前に立ち、手を広げてもステッチの破綻がありません。そして複数のカメラで撮影するよりも簡単にクオリティの高い360VR動画を撮影することができます。

最初に述べたように、360VR動画は狭い場所や近接撮影でより面白いものになります。ヘッドマウントディスプレイでVRを観た時に「一体何だろう?」と見回す行為がVRの醍醐味だと思うのです。

個人的な意見ではありますが、遠景の場合、広角レンズで撮影すればわざわざVRにする必要はないと感じています。むしろ広角レンズで撮影した動画の方がVRよりも綺麗です。そして近接や狭い空間での360VR動画ほどのインパクトはありません。

高画質なハイエンドカメラも使用できます

一般的な360VR動画の撮影では視差を小さくするために小さなカメラを使用しなければいけません。

しかしながら、それらのカメラは1/2.3″と呼ばれるサイズのセンサーが使用されています。

明るく広い屋外などではそれなりに綺麗に撮影できますが、明暗差の大きなコントラストの高い場所やくらい場所になると綺麗に撮影するのが難しくなります。画質はセンサーサイズに比例するのです。

この方法であれば、日頃使い慣れたREDやARRI、Blackmagic、SONY、CANONなどのハイエンドなシネカメラも使用でき、高画質なVRを撮影することができるのです。