インタニヤの魚眼レンズは、一般的な魚眼レンズよりも、さらに広い範囲を撮影できる超広角魚眼レンズです。一般的な魚眼レンズの視野角は180°程度なのに対し、インタニヤの魚眼レンズの視野角は250°(HAL250 シリーズ)にもなり、カメラの後方まで撮影できる特殊なレンズです。
この超広角な魚眼レンズの特徴を活かして、プラネタリウムなどのドームコンテンツやVR映像の製作などの分野で広く使用されていますが、今までに無かった広角レンズなだけに、アイディア次第で様々な活用方法を考えることができます。
今回は、そんな可能性の一つとして、調査目的などでの活用方法について紹介します。
調査用途などで使用される魚眼レンズ
魚眼レンズのような広角なレンズは、カメラ一台でも広範囲を撮影できることから、トンネルやパイプなどの管検査などで使用されることがあります。
例えば、180度の魚眼レンズを使用した場合、レンズの前は全て映し出すことができます。
魚眼レンズを使用すると、通常のレンズと比べて、少ない台数のカメラで撮影ができ、被写体の全体を同時に確認できるなどのメリットがあります。
周辺部の解像感と死角の問題
周辺部の解像感の問題
多くの魚眼レンズの場合、レンズの中央部分の解像感は高くても、周辺部分になればなるほど、周辺減光や像流れとよばれる滲みやボケなどの程度が大きくなり、周辺部分の確認が難しくなるという問題があります。
凸凹のある場所での死角の問題
凹凸があった場合の死角の問題
一台のカメラで広範囲を撮影できる魚眼レンズですが、凹凸が会った場合にできる死角の問題があります。
上記のような凹凸のある場所での撮影だと、角周辺で死角が発生します。
多くの死角は、カメラが前に進むことにより解消されますが、凸凹の「裏側」部分は確認できないまま残ってしまいます。
例えば、壁の反対側は、180度の魚眼レンズを使用しても確認することができません。
また、周辺の解像度の悪さなどもあり、死角の部分は残されたままになります。
超広角魚眼レンズHALシリーズを使用することで解決
視野角250度を誇る魚眼レンズ、HAL 250シリーズを使用すると、カメラの後方まで映すことができ、通常の魚眼レンズなどでは撮影できないようなカメラの斜め後方まで撮影することができます。
上記は250度の魚眼レンズHAL 250シリーズの視野のイメージですが、レンズの斜め後ろ方向まで映し出せるので、180度の魚眼レンズでは撮影できなかった、凸凹の「裏側」まで撮影することができます。
狭い場所でカメラをターン出来なかったりする場面ではもちろんのこと、前方方向に向けて進むだけで確認できるため、調査に必要な時間も大幅に削減することができるようになります。
周辺までシャープなイメージ
Entaniya Fisheye HAL 250シリーズは、もともと360度VR撮影を想定して設計されたレンズです。
360度撮影の場合、複数の映像を繋ぎ合わせる必要があるため、周辺部分もシャープなイメージを提供する必要があります。
そのため、Entaniya Fisheye HAL 250シリーズは、周辺の減光が少なく、シャープで収差の少ない設計がされているため、180度部分はもちろん、250度の部分でも、シャープなイメージを得ることができます。
250°の超広角魚眼レンズ
実際の検証
250度の魚眼レンズHAL 250 を取り付けたカメラを、上記の図のような位置に配置して撮影を行います。カメラをテーブルの上に置いて、カメラの向きを正面に向けたたまま、右側の柱の裏にある、赤い部分にあるターゲットの撮影を試みます。
「A」の位置から確認した場合、ターゲットを確認できません。
「B」の位置から確認した場合、ターゲットは柱の裏側にあるので確認できません。
「C」の位置からは、ターゲットの確認ができますが、カメラの斜め後方となり、通常のレンズや魚眼レンズではカメラを正面に向けた状態では撮影ができません。
このような配置の場合、180度の魚眼レンズなどでは、ターゲットを確認ができません。
Entaniya Fisheye HAL 250 で撮影
上記は250度魚眼レンズであるEntaniya Fisheye HAL 250で撮影した写真です。
写真右上を確認すると、ターゲットが確認できます。(赤丸で囲んだ部分)
ターゲット部分を拡大してみると、ターゲットが確認できます。
円周イメージの外側に近い部分ですが、シャープなイメージで撮影できています。
このように超広角魚眼レンズを使用すると、カメラを正面に向けたままで、ターンさせることなく、壁の裏側を確認することができるようになります。