魚眼レンズの保護目的のドームカバーの使用例

※撮影時にレンズを保護したいというご相談を多数いただいております。この記事は簡易的にレンズを保護する目的としてドームカバーを使用した場合の映像への影響などをテストした結果をまとめています。映像制作の際にレンズを保護する方法の一つとしての提案となり、光学的な問題は考慮しておりません。予めご理解の程よろしくお願い申し上げます。

魚眼レンズをどう保護するか?

魚眼レンズはレンズフードやレンズプロテクターを使用できない

魚眼レンズは俗に「出目金」などとも呼ばれるように、一般的なレンズに比べてレンズが前に飛び出した独特な形状をしています。

また、180度以上の視野があるのでレンズ周辺の物は映像に写ってしまうため、レンズフードやレンズプロテクターなどを使用することができません。

そのため、魚眼レンズを使用する際には、いわゆる「裸眼」の状態で使用する必要があります。

衝突やうっかりミスでレンズが傷ついてしまうのが怖い

インタニヤの魚眼レンズを使用しているユーザーの方からも相談されることが多いのが「レンズを傷つかないように保護する方法はあるか?」という内容の相談です。

レンズを守るためには、物理的にレンズをカバーするものが必要になります。

一般的には、レンズフードやレンズプロテクター、レンズ保護フィルムなどを使用するのですが、魚眼レンズの場合はレンズの前にフィルターを設置しても、そのフィルターでレンズの視野をカバーしきれないため使用ができません。

視野をカバーするには、ドーム状のカバーを使用する必要があるのです。

ドームカバーを使用する方法

アクリルドームカバー

魚眼レンズを保護する目的として最もシンプルな方法がドームカバーを使用する方法ですが、多くの方が気にするのが画質への影響です。

視野が狭くならないのか?
シャープネスは損なわれないのか?

確かに、レンズのスペックを最大限に活かすには「裸眼」の上体が一番良いのは間違いありません。なのでメーカーとしてもカバー無しでレンズを使用して欲しいというのが本音ではあります。

ただ、レンズを傷つけてしまうような可能性がある場合はレンズを保護した方が良いとも言えますし、レンズを保護したいのであれば、何か方法を考えなければいけません。

その方法の一つとして、アクリル製のドームカバーなどの使用を提案させていただいております。

ドームカバーの種類も様々で、最も理想的なものを考えると、一緒に使用するレンズの光学性能を損なわないように設計されたドームカバーということになりますが、価格などを考えるとあまり現実的ではありません。

逆に最も手頃なのがアクリル製のドームカバーとなります。安価に手に入りますし、サイズも様々あるので、使用するレンズのサイズにフィットするものを探すこともできます。

アクリルドームカバーを使用した際の画質の劣化について

アクリル製のドームカバーを使用した場合、多少なりに画質への影響はあると考えて間違いありません。

ただ、測定など正確な情報を得ることが目的でない使用の場合には、アクリル製のドームカバーを使用する方法はレンズを保護する目的としては十分に考える余地はあるでしょう。

魚眼レンズにアクリルドームカバーを使用して撮影

魚眼レンズにアクリルドームカバー

魚眼レンズにアクリルドームカバーを被せて撮影した場合に、どの程度画質への影響があるのかの簡易的なテストをしてみました。

インタニヤで取り扱っているアクリルドームカバーを使用しています。

アクリルドームカバーと魚眼レンズ取り付け
アクリルドームカバーの取り付け方法

取り付け方法はケースバイケースだと思いますが、今回は、天頂向けにカメラを固定するためのL字型のリグ(RIG-OC-13)とホームセンターで適当な金具を揃えて簡易的な取り付けしています。

アクリルドームカバーの取り付け方法

ドームカバーと魚眼レンズの距離にも注意が必要ですね。
接触しないように注意しましょう。

あとはアクリルドームの設置位置や角度によって映像に影響が出やすくなる場合もあるので、そのあたりも確認しながら設置するのが良いと思います。

ドームカバーを使用した魚眼レンズHAL 250の撮影サンプル

アクリルドームカバー無し

アクリルドームカバーなし撮影サンプル

アクリルドームカバー有り

アクリルドームカバー有り撮影サンプル

インタニヤの250度魚眼レンズ HAL 250 MFT 3.0を使用して、アクリルドームカバーの無しと有りで撮影テストを行いました。

画角への影響はあまり無し

個人的にもっとも懸念していたのが、画角への影響でしたが、ほとんど影響は無いようです。(※HAL250は250度の視野角の魚眼レンズなので、アクリルドームカバー有りの方は周辺にアクリルドームカバーのフランジ部分が写ってしまっていますが 、もう少しアクリルドームカバーの設置位置を下げれば写り込みは避けられます。)

シャープネスへの影響も少し

比較

次に気になったのがシャープネスですが、拡大して見比べると、影響は感じますが、許容できる人はきっと多いのではないかと思うレベルの影響でした。周辺も像が流れたりすることもありませんでした。

フレアやゴーストなど

今回のテストでは直射日光や強い光が当たるような状況ではありませんでしたが、コーティングなどが特にされているものではないため、多少なりの影響は出るものと思いますが、アクリルドームカバーの設置位置や光の位置、強さなど状況次第というところはありそうです。

オリジナルの撮影サンプルは下記のボタンよりダウンロードいただけます。

ドームカバーを使用した魚眼レンズHAL 200の撮影サンプル

魚眼レンズとアクリルドームカバー

Entaniya Fisheye HAL 200は、HAL 250よりも一回り小さい視野角200度の魚眼レンズです。

HAL 200はHAL 250と比べて、小型で軽量であることからドローンに搭載したり、アクロバティックな撮影で使用されることも多いレンズで、レンズの保護についても、相談されることが多いです。

アクリルドームカバー無し

HAL 200魚眼レンズ

アクリルドームカバー有り

HAL 200魚眼レンズとアクリルドームカバ0

テストで使用したレンズはEntaniya Fisheye HAL 200 MFT 4.2です。

比較画像

HAL 200に関しても、HAL 250と同様に、アクリルドームカバーが画質へおよぼす影響はそれほど大きくないという印象です。

ただ、選択するアクリルドームカバーの大きさや設置位置によっては、画質の違いも感じられたので、いろいろと試してみるのが良いかもしれません。ちなみに今回のテストでは、レンズの大きさに近いアクリルドームカバーを使用した方が画質への影響は少ないというような結果になりました。

オリジナルの画像サンプルは下記のボタンよりダウンロードしていただけます。

アクリルドームカバーを使用した魚眼レンズを保護する方法

アクリルドームカバーと魚眼レンズの保護

冒頭でも書いたように、レンズの性能をフルに発揮するためには「裸眼」の上体がベストではありますが、レンズを傷つけたりするような可能性のある撮影などでは、魚眼レンズを保護する目的でアクリルドームカバーを使用するなども方法の一つとして考えてみても良いのではと思います。

例えば、長時間屋外にカメラを設置して撮影する際などは、アクリルドームカバーを使用することで、予期せぬ雨に降られても、レンズとカメラを守ることができます。

また、魚眼レンズの広角な視野を活かして、車載カメラなどで迫力あるシーンが撮影されたりするような場面で、飛び石などからレンズを守りたいという相談を受けることもあるのですが、そのような場合でも有効な手段になるのではと思います。

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