CIS 4K Camera VCC-4K2とフィッシュアイレンズ

CIS Global Shutter 4K Camera VCC-4K2

4K撮影可能な産業用カメラVCC-4K2を使用して撮影テストを行いました。

4K産業用カメラVCC-4K2

● 1.0 型グローバルシャッタCMOS イメージセンサー
● 4K カラーカメラ
● 4K UHDTV 60p/59.94p/50p (3G-SDI ×4ch)
● 65mm × 65mm × 110mm
● GenLock対応。
● LTC(タイムコード)挿入。
● ガンマ特性BT.2100、色閾BT.2020機能搭載
● Lens Mount M42
● 420g

VR撮影用カメラとしてVCC-4K2を使用する利点

VR用途を考えた場合、グローバルシャッター、3D180VR向きの細長い筐体、GenLock対応、4K/60fps、という部分がこのカメラの大きなポイントになるかと思います。

イメージのシャープネスに影響を及ぼすローパスフィルターはデフォルトでは装備されているそうですが、ローパスフィルターは取り外しもできるそうなので、よりシャープなイメージが必要なVR用途としては良い選択肢になると思います。

カメラのマウント形式

Cマウント

マウント形式はM42が基本ですが、オプショナルパーツのM42-Cマウントアダプターを使用することでCマウントレンズも取り付けができるようになります。上記の写真ではカメラにCマウントアダプターが取り付けられた状態です。

Entaniya Fisheye HAL

Entaniya Fisheye HALは下記のレンズでCマウントに対応しています。

● Entaniya Fisheye HAL200 3.6


● Entaniya Fisheye HAL250 3.0


● Entaniya Fisheye HAL250 3.6

Entaniya Fisheye HAL200 C 3.6

HAL 200 C 3.6 / 4.2

Entaniya Fisheye HAL200 C 3.6を取り付けてみました。

Entaniya Fisheye HAL200は3D Stereo 180VR(VR180)用途でよく使用される魚眼レンズですが、多くの場合カメラ本体の方が大きくレンズ間の距離を詰められないという問題があります。

しかし、VCC-4K2の場合はカメラの本体は後ろに長く、レンズの直径よりも幅が狭いため、3D Stereoscopic 180VRの用途としても良さそうです。

GenLockに対応している点も複数のカメラを使用する3D Stereo180VRなどの用途では大きな利点です。

Entaniya Fisheye HAL250 C 3.0

HAL 250 C 3.6 / 3.0

HAL200よりも一回り大きなEntaniya Fisheye HAL250 C 3.0を取り付けてみました。レンズのフロントが重いので付属の三脚座を使用して支えるのが良いと思います。

HAL250はその名の通り、250度の視野角をもつ広角魚眼レンズで、その広い視野を活かしたワンショットVRと呼ばれる撮影方法に適したレンズです。

250度の視野の広さは、肩を固定して首を左右に振った時に見えるくらいなので、ワンショットでも十分にVRとして成立する視野が得られるというわけです。

撮影

カメラにはSDIケーブルなどが接続されています。システム構成については下図を参照ください。

ケーブルが多々あるのは同時撮影のフル360°用途としてはあまり適しているとは言えませんが、昨今のVRは同時に360°撮影せずにワンカメラで撮影することも増えてきているので、そのような撮影方法を行う場合には問題になりません。

基本システム構成

カメラ1台での撮影

カメラ1台で撮影する時のシステム構成のイメージです。意外とシンプルな構成で動作させることができるので産業用カメラでありがちな取り回しが悪いという感じもそれほどではありません。

カメラ2台以上での撮影(GenLock)

3D Stereoscopic 180VR(VR180)などの撮影を想定したシステム構成です。同期信号発生器を使用してGenLockさせることができます。

撮影映像

Entaniya Fisheye HAL250 3.0

Entaniya Fisheye HAL250 3.0を使用した撮影サンプルです。天気は生憎の曇天でしたが雲の快調などはよく表現されていると思います。またローパスフィルターが入っている状態ですが、比較的シャープなイメージが得られているなという印象です。

イメージサークル

センサーに対してのイメージサークルの入り方は上記のようになります。
センサーをできるだけ多くカバーしたい場合はEntaniya Fisheye HAL250 3.6を使用すると四隅に若干のケラレが出ますが、ほぼ対角魚眼レンズとして使用することができます。

画角

● HAL200 3.6 H:200° V:120°
● HAL250 3.0 H:250° V:140°
● HAL250 3.6 H:225° V:120°

VCC-4K2に搭載されているセンサーは1インチなので、縦の視野は120〜140°程度になり、VR用途としてはやや狭く感じるかもしれませんが、その分解像度は大きくなりよりシャープなイメージが得られるようになります。

また、VRで天地が重要な場面も少ないので、必要なのは左右の視野のみと割り切ることができればかなり良い組み合わせになると思います。

実際問題で上下の視野は120°もあれば人が正面を見た時に見える視野とほぼ同じですから十分な視野と言いえますし、上下の視野を切り捨てて解像度を優先した撮影も多くなっています。

まとめ

産業用カメラでも4K以上の撮影が可能な高解像度カメラも多くなり、カスタマイズ性の高さやGenlock、長時間撮影など、VR撮影において一般的なカメラよりも有利な部分も多ことから、VR撮影用のカメラとして産業用カメラを選択肢に入れる方も多くなってきているように感じます。

特に、最近の傾向としてVR映像に360°全てが必要ないと考える人も増えてきている中で、広角な魚眼レンズとカメラ一台で撮影するシステムのカメラの候補として4K撮影可能な産業用カメラという選択肢があるというのは非常に大きなメリットにもなるでしょう。

また、VR用途以外でも、監視用カメラや調査用カメラとして産業用カメラは使用されることが多く、魚眼レンズを使用することでコストが抑えられたり、システム自体をシンプルにすることが出来るなど、産業用カメラと魚眼レンズの相性は非常に良いので、今後いろいろな分野で活用されていく可能性を感じることができたテストでした。

最後に、今回のテストにあたって株式会社シーアイエス様にご協力をいただきました。CIS 4K Camera VCC-4K2についてのより詳しい情報は株式会社シーアイエス(https://www.ciscorp.co.jp/)にお問い合わせいただければと思います。

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