FULL DOME FILM “HIRUKO”

Entaniya Fisheye HAL200が撮影に使用されたドーム映像作品「HIRUKO」が2019年5月より公開されます。

公開に先駆けて試写会が開かれましたのでお邪魔してきましたのでご報告させていただきます。

実写ドーム映像作品

試写会は5月の公開でも上映がされる、東京都足立区西新井にあるギャラクシティの2Fにあるプラネタリウムで上映されました。

ご存知の通り、プラネタリウムの本来の目的は星空を体験するための施設で、天球を表現するための巨大なドーム状のスクリーンが備わっています。

一般的にプラネタリウムに投影させるコンテンツは解像度の問題などが関係して、CGコンテンツがメインだったりするわけですが、撮影機材の進歩などもあり、プラネタリウムでも実写映像が使われることが増えてきており、それとともに映像クリエイターの方たちがドームスクリーンでの上映を前提とした映像作品を製作するようにもなっています。

今回公開されるドーム映像作品「HIRUKO」も実写映像作品で、撮影には、超広角魚眼レンズであるEntaniya Fisheye HAL200も使用されています。

実写ドーム映像の時代が来た!

機材的なところでの話になると、ドーム映像はとても巨大なスクリーンに投影させるため、映像自体の解像度が必要になるのはもちろんのこと、映像の入力元である機材(レンズやカメラ)の性能も重要になってきます。

実のところEntaniyaは以前から魚眼レンズに関する相談をプラネタリウム関連の方々から相談されることが少なからずありましたが、以前はカメラを含めた解像度や性能の問題もあってなかなか実践に使用されることはありませんでした。

しかし、この数年でカメラ機材が大幅に進化したことや、ラージフォーマットに対応した高性能な魚眼レンズを開発したこともあり、大型スクリーンに投影しても耐えうる映像が撮影できるようになったことから、Entaniya Fisheyeが実写ドーム映像作品でも使用されることが増えてきました。

実写ドーム映像作品「HIRUKO」

今までも実写ドーム映像作品でEntaniya Fisheye HALが使用されているのは知っていましたが、実際に撮影された映像作品を観たことがありませんでしたが、今回協力企業として試写会に招いていただき、初めて実際に作品を観ることができました。

「身体性」をテーマにした作品

Double

HIRUKOの監督である飯田さんの作品[Double]でもEntaniya Fisheye HAL 200が使用されました。

作品は「身体性」と「舞踏」をテーマにしたアート作品ですので、事前に「身体性」と「舞踏」をサラリとでも調べておくと、より踏み込んだところで作品を楽しめるのではないかと思います。

いわゆるハリウッド映画のようなエンターテイメント性に溢れたような作品とは違いますが、プラネタリウムという場所でアート表現を共有するという体験ができる作品です。

ドーム映像の特徴を活かした演出はもちろんですが、そして黒白赤をが基調になった映像の美しさ、映像表現のメリハリ、間、演者の動作に対し、非常に刺激を受けたと言いますか、考えさせられたと言いますか、一般的な映像を観た時の感動とはまた違う感動を得られる作品でした。

ドーム映像の可能性

冒頭でも書いたように一般的にプラネタリウムは星空や天体の映像を観るための施設なので、プラネタリウム=星空映像というようなイメージが強いため、なかなか映像作品を愉しめる空間、施設という連想がしづらいですが、映画館のように映像作品を投影させるための施設としての可能性を非常に強く感じました。

現状としてはまだまだ実写ドーム映像コンテンツは映画のような市民権を得ているとは言えませんが、もしもドーム映像を前提とした映画がもっとあったとしたら、きっと一般的な平面スクリーンで観る映画よりも、ずっと楽しいものになるんだろうなと思いました。

試写が終わった後に、監督の飯田将茂さんと、主演の原初舞踏家の最上和子さんのトークセッションがあったのですが、その中での監督の言葉を借りると、平面スクリーンの映画館ではなるべく作品に没入するために周囲の情報(雑音や人影)をシャットアウトしてスクリーンに集中しようとするのに対して、ドーム映像の場合は、そこに居る人達で空間を共有するという体験ができるという違いがあります。要するに雑音や人影も視聴環境として許容できるのです。

その言葉を聞いた時に「あぁ、確かにドーム映像の場合は周囲の雑音や人影は気にならないなぁ」ということに気がついたのでした。例えば花火大会を観に行った時に、周囲の人混みは気になりません。気にならないというよりも、むしろ花火に没頭するための気分を盛り上がるためには雑音や人影は必要だったりもするわけです。要するに空間を共有しているわけですが、それと同様の体験がドーム映像では実現できるのです。

実はプラネタリウムという場所は、昔からあるマイナーでちょっと時代遅れを感じさせるものではなく、実はかなり未来的な施設だと考えることができますし、実際そうなのだと思うようになりました。

こじつけになるかもしれませんが、魚眼レンズ自体は昔からあるレンズの種類の一つですが、Entaniya Fisheye HALは超広角であったり、性能面であったり、今までに無かった魚眼レンズなので、多くの人から「Future(未来的)!」というような驚きや評価をいただくことがあります。

昔からあるけれど、実は未来的という意味で、実写ドーム映像とEntaniya Fisheye HALは非常に相性が良いものなんじゃないか、そしてこれから先の映像表現として非常に可能性を感じずにはいられないのでした。

関連記事

TOP